タータンチェック

元祖チェックパターン、タータンチェックを見ていきましょう。


現在タータンチェックがレジストされている標準データは、各方面でバラバラに持ち合わせていた情報を、１９世紀に入った頃から少しずつ家名と結びつけて分類した体系です。
しかしタータン文化の主体であるスコットランド人がまさにタータンを身に纏って活躍した時代は、１７４５年カロデン・ムーアの戦い以降収束に向かったといえます。
つまりこの体系は、当時失われつつあった民族文化を守るために（慌てて！）情報をかき集めたモノといえます。その為リアルタイムの情報は意外と少なく、実際の利用状況がはっきりしない柄もたくさんあるようです。
タータン＝歴史の語り部という捉え方は早計に過ぎるかもしれません。

ただしその細かい所属ははっきりせずとも、中世・近世スコットランドの豪族たちは、何らかのタータン柄に誇りを抱いて生きていました。
ですからタータンを使う文化全体をまとめて歴史に裏づけられた芸術として捉え、その輝きをタータンチェックの中に感じることは正しい見方です。

そして驚くべきは、この柄が今なお進化を続けていることです。
ノスタルジックな文化遺産としてではなく、最先端のファッション表現や巷間の生活に使われる様々なデザインに普通に現れ、新しいものが作られているのです。縞・格子を使ったデザインは世界中にありますが、これほど広く知られ且つ愛され続けるものは皆無でしょう。